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免震構造について

耐震技術

耐震性能を飛躍的に向上

1995年1月の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)、そして2011年3月の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)では、建築物が多大な被害を被り、多くの貴重な人命が失われ、改めて耐震設計の在り方が問われました。特に、ここ静岡県では、東海・東南海地震、さらには南海トラフ巨大地震の発生も危惧されており、建築主としても、建物の耐震性能確保は最重要項目の一つとなっていることと思われます。免震構造は耐震構造に対し飛躍的に耐震性能を向上させることが可能で、人命の安全はもちろんのこと、重要な機器や大切な家具などを安全に守ります。長期にわたる資産価値が向上し、その結果、地震に対して優良な建物が安く得られることとなります。

免震構造とは

「免震構造」は、建物と基礎の間に、積層ゴムをはじめとする「絶縁」部材を入れた免震層を設け、地震による水平動が直接建物に伝わらないようにした構造を 言います。地震によって地盤が早く激しく揺れても、建物は地盤の揺れに追随せずゆっくり動くために地盤から地震力を受けず、建物はほとんど損傷を受けません。
免震構造

免震構法のメリット

免震構法のメリット

免震効果

免震構造を採用することにより、非免震の場合に比べ地震時の揺れ、変形が大幅に低減しています。応答加速度は1/5程度となっており、十分な免震効果が確認できます。
5階建RC建物の例/最上階の応答加速度
[5階建RC建物の例/最上階の応答加速度]

免震構造の耐震性能グレード

建物の構造(耐震性能)にも「松・竹・梅」といったグレードがあります。現状では、建築構造の「性能」には、建築基準法をクリアしているという一点のみで 上も下もないのが一般的で、建物がその性能を明示することなく設計・施工され「売られている」と言えます。つまり、建築構造は、いまだ性能と価格が対応し た「商品」でなく、それを造る技術も「商品化」されていないと言えます。
免震構造では、この性能明示が可能で、現行基準法レベルのCランクに対して、数倍の地震入力にまで耐えることが可能なA~Sランクの耐震性能を確保することができます。
免震構造の耐震性能グレード

免震装置

免震装置は、アイソレータとダンパーにより構成されます。

アイソレータ

建物を安定して支持し、かつ水平方向にゆっくりとした動きをさせるためのもので積層ゴムが一般的です。積層ゴムはゴムと鉄板を相互に挿入することにより、 水平方向には柔らかく、鉛直方向には変形しないようにしたものです。積層ゴムには天然ゴム系積層ゴムのほか、鉛プラグ入り積層ゴムや高減衰積層ゴムがあり ます。

ダンパー

地震エネルギーを吸収し揺れを低減するためのもので、鋼棒ダンパー、鉛ダンパー等いろいろな種類のものがあります。
天然ゴム系積層ゴム
[天然ゴム系積層ゴム]
天然ゴム系積層ゴム
[銅棒ダンパー]
天然ゴム系積層ゴム
[鉛ダンパー]
弾性すべり支承
建物が軽量となる中低層建物や鉄骨造建物には、免震装置として、高性能で低コストな弾性すべり支承が最適です。
 
弾性すべり支承

免震建物の企画・設計から維持管理まで

免震建物の企画・設計から維持管理まで

免震建物のコスト

初期建設コストのみをとらえて在来工法と比較した場合は若干の割高になります。建物の性能をコストに反映させれば、現状でも免震建物は在来工法と比べ割安なものとなっています。

コストダウン要因

  • 免震装置費用
  • 免震層(免震ピット)の躯体費用
  • 設備配管の可とう継手やエントランス等の免震ディテール

コストアップ要因

  • 地震力低減による上部構造躯体や杭径の低減
  • 高層マンション等の場合、SRC造をRC造に変更することが可能
建設コスト比較(8階建マンションの例)
[建設コスト比較(8階建マンションの例)]