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今之浦市有地屋根付広場 建設工事


第38回 静岡県建設業協会建設もの創り大賞 優秀賞

今之浦市有地屋根付広場 建設工事
磐田市の今之浦市有地屋根付広場は、「多世代の交流・憩いの場となり、新たな交流が生まれ、人が育ち、『まち』のにぎわい・活性化へとつながること」を全体テーマとして掲げた多目的広場です。2.4ヘクタールの広大な敷地に、本工事である屋根付広場をはじめ、7,600㎡の芝生広場や災害時の備えともなるあずまや、大型複合遊具やふわふわドーム、噴水広場などが設けられています。
当社が手掛けた屋根建築は、公園の象徴となるような“大きな樹”をモチーフとしており、本広場の中でも重要な要素のひとつです。太い幹から枝を大きく広げる樹木のような構造に、白い透光性のある膜を屋根材として組み合わせ、大樹の木陰のように柔らかな光に包まれた空間をつくり出します。また夜間はライトアップによって季節の移ろいを表現する他、クリスマスや正月といったイベントを盛り上げる演出も予定されています。
本工事は、複雑な設計に加えて、敷地内で多数の工事が同時進行したことから、安全管理、品質管理共に高難度の工事となりました。当社は接触災害を防ぐために敷地内に出入りする施工業者や近隣で営業する店舗様と緊密な連絡調整を図るとともに、変則的な支柱工事の進捗に合わせて作業足場を設置するなど、徹底した安全対策を実施。品質面ではレベルで±2mmという高精度な施工管理を行い、1,610本のトラスを寸分の狂いなく組み合わせた、前例のない屋根形状を実現しました。
磐田市に新たなランドマークが誕生した本工事。発注主である磐田市様より「点数以上の現場管理」という評価をいただき、さらに第38回静岡県建設業協会建設もの創り大賞の優秀賞という栄誉にあずかるなど、当社にとっても誇らしい施工実績となりました。
今之浦市有地屋根付広場 建設工事

工事概要

令和2年度 今之浦市有地屋根付広場建設工事

設計 竹下一級建築士事務所
所在地 磐田市今之浦地内
発注者 磐田市
構造 構造S造平屋
面積 建築面積1,200.88㎡、延床面積1,200.88㎡
工期 2020年7月3日~2020年3月22日

工程計画

技術的に特殊なポイントの多い屋根建築を限られた工期で完成させるため、「4カ所の鉄骨柱」、「1,610本の屋根トラス」「3分割構造の屋根膜」それぞれの製作日程と施工日程を策定し、確実なスケジュールの履行を目指しました。
楕円形の広場に合わせた有機的なフォルムを持つ屋根建築は、4本の支柱それぞれが異なる角度や高さで作られており、それに組み合わせられる1,610本のトラスも、ウェーブした屋根形状に沿うために、ひとつとして同じ長さのものがありません。また支柱には静岡県産の杉が取り付けられており、接続方法や塗装工程や木工事のタイミングなど、特に入念な事前確認が求められた部分です。また、東京ドームと同じ膜材を使った屋根は専門業者も経験したことのない変則的な納まり形状でこちらも難しい作業が予定されたことから、作業エリアを分割して他工程や風雨による影響を最小限に抑える、確実な工程計画を心掛けました。

仮設計画

本工事は、同じ公園敷地内で同時進行の工事が多く、多数の工事業者が混在する中で行われました。そのため、施工計画には一層の安全対策が求められました。そこで、運行通路、作業区画はMAバリケードを設置し、日々変わる状況に応じてバリケードの移動を行って接触事故を防ぐ計画としました。
外部足場計画においては、4つの支柱それぞれの基礎の高さが違うため、足場の位置を座標管理として現地においてやり方出しを行い、トランシット測量機器を用いて足場の通り出し、位置を決めながら組立を行いました。一方、屋根の形状が不規則なことから、作業床は図面で屋根高さを詳細に検討し、屋根形状に合わせた不規則な高さとし、常に屋根トラスのグローブ下端(トラスパイプをつなぐ玉)から40~60cm下がりとなるよう、何度もレベル測量を行って組立を行いました。
確実な組立のため、作業床を高さごとに色分けした足場平面計画図。
作業床を高さごとに色分けした足場平面計画図。
屋根の高さを基準とし、安全性と快適性を確保するよう努めた。
屋根の高さを基準とし、足場の安全性と快適性を確保。

完成まで

ひとつも同じ通りがない杭位置、基礎位置(鉄骨アンカー)の正確性を保つため、基礎打設時は常に鉄骨アンカーの位置をトランシット測定器で確認しながら打設し、誤差を無視できるレベルに抑えた。
レーザーを使って下部鉄骨ベースプレート天端を位置決めし、精度を確保。
1本の支柱は8本の鉄骨柱からなり、高さ、角度が全て異なっている。
上部が広がる特殊形状。梁・プレスも角度が異なり、細心の注意を払った。
上部が広がる特殊形状。梁・プレスも角度が異なり、細心の注意を払った。
高さ、角度が全て異なる支柱。1本の支柱は8本の鉄骨柱からなる。
外廻りプレート位置でミリ単位の精度が要求された、下部鉄骨建て方。
レーザーを使って下部鉄骨ベースプレート天端を位置決めし、精度を確保。トラス各支点のレベルも一定ではないため、1,610本のパイプを慎重に手組みで施工した。
工区を分割し、組立、塗装、膜の展張を合理的に進行。膜の展張は風の少ない早朝から行い、シワやたるみが発生しないよう細心の注意を払った。
屋根膜を支えるトラス構造。全てのパイプの寸法が異なり、組立に苦慮した。
屋根膜を支えるトラス。全てのパイプの寸法が異なり組立に苦慮した。
当初の設計では雨漏りの懸念があったため、現場で中間膜の設置を提案。
当初の設計では雨漏りの懸念があったため、現場で中間膜の設置を提案。
木が腐蝕しないよう、固定方法を工夫。木材は現場で仕上げ加工し、精度を確保。
木が腐蝕しない固定方法を工夫。木材は現場で仕上げ加工し精度を確保。

地域の豊かな未来に想いをはせて

地域を代表する公園を大幅に拡張する工事ということで、地元からも非常に高い関心が寄せられた本工事。当社としても、積極的に磐田市職員の現場見学勉強会や静岡理工科大学の学生に対するインターンシップ受入れ、中学生向けの職場見学学習を実施し、技術力研鑽の場として、また地域の未来を築く子どもたちの勉強の場として、微力ながら貢献ができたのではないかと自負しています。本工事を通じて磐田市の新しいランドマークに加わる工事に携われたこと、そして前例のないさまざまな課題に挑戦・克服できたことは、当社の大きな誇りです。
磐田市職員や大学生、中学生など多くの方が現場を訪れた。
磐田市職員や大学生、中学生など多くの方が現場を訪れた。
中学生からいただいた手紙の一葉。現場に携わった全員の苦労が報われた。
中学生からいただいた手紙の一葉。現場に携わった全員の苦労が報われた。
思い思いの楽しみ方ができるスポットとして、老若男女に親しまれている。
思い思いの楽しみ方ができるスポットとして、老若男女に親しまれている。